雪山でカメラ機材とバックカントリー装備を背負い、写真を撮り続ける女性。
彼女は雪山から降りると保育園にいる双子の子供たちを迎えに行く。
雪山カメラマンというハードな仕事をしながらの子育て。その陰には一体どのようなライフスタイルと想いがあるのだろうか。
"単純にスノーボードが好きで、スノーボードを生業に出来るような仕事がしたい。"
(C)Makoto Kuroda
Q.女性でありながら、雪山のカメラマン。ましてや母でもある美穂さん。今のライフスタイルを目指してきた思いを聞かせてください。
まだ20代でバリバリプロスノーボーダーを目指して頑張っていた頃にキッカーで大けがをして、約半年間のリハビリ後なんとかスノーボードが出来るまでに復活しました。
どちらかというと自分自身がパフォーマーというよりは、サポーターとしてスノーボードに関わっていく方がいいのではないかと考えるようになっていました。
単純にスノーボードが好きで、スノーボードを生業に出来るような仕事がしたいと思ったんです。
最初に紹介していただいたお仕事がライダーのインタビューとテープ起こしでした。
フリーランスでスノーボード専門誌の仕事に関わるうちに、自分が写真を撮って記事も書ければもっと現場で起こる様々なシーンを伝えられるのではないかと考え、独学で写真を学びカメラを持つようになりました。
スノーボードやスキーシーンをフォトグラファーという立ち位置で追っていくと、ゲレンデ内だけでは飽き足らず、どんどんバックカントリーや山岳地帯にまで入り込んでしまっています。
撮影にはライダーとのタイミングだけでなく、天気や雪質などの気象条件が絡んできますし、バックカントリーに入るためのギアとカメラ機材が入った重い荷物を長時間背負う体力も必要になります。
納得がいく作品を1枚撮るための道のりが長い。まだまだ発展途上なんです。
主人も雪に関わる職業に従事ているので、特に冬の間の子供との関わりについてはそれこそ試行錯誤。今のライフスタイルもまだまだ発展途上です。
(C)Makoto Kuroda
Q.子育てしながらの雪山カメラマンはどんな生活をしているの?
母である自分がこの仕事をしていることでいい影響だと思えること、また大変だと感じることは?
もう保育園さまさまです。朝保育園に子供を送ってから雪山にあがり、撮影を終えて夕方お迎えに行く、というのが日課です。
天気が悪い時も、なるべくゲレンデで滑って筋力が衰えないように気をつけています。
土日やお休みのときは、なるべく子供たちと雪遊びをしたり、ゲレンデに出かけて一緒に滑ったりしています。
この仕事をしていると沢山の方々と出会い、繋がることが出来ています。
自分の影響なのかどうかは分かりませんが、子供たちもそうして出会った人たちと親しくなって、人見知りがあまりないことはとても嬉しいです。
今年の夏はニュージーランドで初めてのホームステイにも挑戦しました。
両親以外の人ともきちんとコミュニケーションが取れるようになってくれれば嬉しいです。
大変なのは、やっぱり子供たちが病気になったり具合が悪くなったりしたとき。
すでに仕事が入ってしまっていて一緒に居られないときなどは更に切ないですね。 なので仕事を引き受ける時は、両親のどちらかが一緒に居てあげられるようにスケジュールを調整します。
ただ、ハイシーズンの週末などは主人と予定がかぶってしまうことも多く、そういう時は義母や近所の親しい家族に協力してもらっています。
(C)Makoto Kuroda
Q.子供ができてから、そしてこれから子供を育てていく中で、この仕事は続けていきたいと思っている?
A. 正直なところ、何度も何度も辞めようかと思った出来事がありました。
ですが、どんな仕事をしていても、辛いことや嫌になることはあるハズで、だったら自分の好きなことが仕事に出来ているなんて最高じゃないか!と、今は思うようになりました。
自然との調和と、人との調和のどちらかが崩れても成り立たない仕事です。
自分の気持ち一つではもしかしたら続けていけない状況になるかもしれません。
ですが、可能性が続くかぎり、チャレンジし続けたいと思っています。
Q. 最後に、見ているママたちへ、何かアドバイスや一言、伝えたいことがあったら是非お願いします。
A. 何かに興味を持ったら、まず迷わずにチャレンジしてみること!
まず第一歩を踏み出すことが肝心です。失敗したら、またやり直せばいい。
写真に関しては、失敗したと思った写真を数年経ってみたら(見方が変わった?)案外良かったりして。
少しずつ続けていたら、必ず成長しますよ。
その最大の秘訣は、「自分自身が楽しむこと」だと思います。
(C)Makoto Kuroda
古瀬美穂(ふるせみほ)(42歳 長女4歳・長男4歳)